吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 暗号かどうかはともかくとして、この文面にどんな意味があるのだろう。

 首を捻りながら写真を元通りに仕舞い、再びペンダントをぶら下げた。

「……これはね。お母さんの形見なの」

 自分の大切な物について、余程の事がない限り言いたくないと思っていたはずだが。白翔には躊躇(ためら)いもなく、あっさりと告げていた。

 白翔が驚いて目を見張り、聞いたことを後悔した素振りで俯いた。

「別に気にしなくていいよ。お母さん、と言っても。私が赤ちゃんの頃に亡くなったから、正直記憶にないの」
「……え」
「白翔はいい子だね」

 クスッと笑みを添えて、小首を傾げる。

「深緋のそれ(・・)、やっぱり意味分かんねー」
「ああ、子供扱いってやつ?」
「そう」

 白翔が若干ふてくされて、口を尖らせた。そして深緋を奥から引っ張り出すと、今しがた移動させた体操マットを元の状態に積み重ねていく。

 黙々とした彼の背を見ていると、無意識に「ねぇ」と声が出ていた。

「何でここにいるって分かったの?」
「え……?」
「さっき。『やっぱりここにいた』って。私のこと、探してくれてたの?」

 白翔が一瞬だけ、眉を寄せる。

「深緋、六時間目出てなかったから。おまえの友達の……、山瀬と水谷に聞いた」

 白翔の中では、ミカとモモコが深緋の友達ということになっている。積極的に話しかけてくるのが、彼女らだけだからだ。
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