吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 今さらながら、わざわざ体育館まで探しに来てくれたことをありがたく思った。倉庫のつっかえ棒を外してくれて、本当は心底安堵したのだ。

 ありがとう、と礼を口にしようとしたとき。離れた場所でバタンと扉が閉まる音が鳴り、続いてガチャガチャと鍵を掛けるような金属音がした。

「今の……」

 白翔を見つめて冷静に言うと、彼は「ああ」と言って慌てて倉庫を飛び出した。

「……マジか。体育館の鍵、閉められた」
「えぇ?」
「まぁ、倉庫なんかいちいち確認しないだろうし、誰も居ないと思ったんだろうな」
「なんで? 部活は?」
「明日から期末だから、どこの部も休み。つーかそんなの今さらだろ、深緋って天然?」

 フッと白翔に笑われて、自然と頬を膨らませた。

 確かに、六月三十日の明日から期末考査が始まる。帰宅部で何にも属していないせいか、部活動が休みなのをすっかり忘れていたわけだが。

 十七歳の同級生(こども)におバカ扱いをされたみたいで、何となく腑に落ちない、そんな表情を浮かべてしまう。

「大丈夫だって。こうやって電気をつけておけば、後でまた見回りぐらい来るだろ」

 言いながら、白翔が入って左手奥にある照明スイッチを上から順に点灯させる。

 そんなものかなぁ。

 不安そうに嘆息する深緋とは違い、彼はどこか余裕そうだ。そのまま体育館倉庫に戻って行く。中から二つのバスケットボールを出してきて、一つをパスされた。

< 46 / 339 >

この作品をシェア

pagetop