吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
深緋は両手に抱えたボールを高く掲げて、スリーポイントの位置から試しにシュートを打ってみた。白翔のように上手くはいかないが、ガン、と一度跳ねてからまぐれみたいに赤いリングをくぐる。
「お〜、ナイッシュー」
白翔が嬉しそうに目配せし、ゴール下に落ちたボールを拾いに走る。シュッと真っ直ぐで的確なパスが、手元に飛んできた。
一度大人しくなった心臓がまた小刻みに音を鳴らした。ドキンドキンと心拍が早まるたびに、落ち着かなくなる。無意識のうちにオレンジのボールを抱っこしていた。
「深緋さ。四月に野良猫助けたときのこと、覚えてる?」
唐突な問いに、え、と呟き、反応が遅れる。うん、と上ずった声がもれた。
「覚えてるよ。新しい飼い主さんが見つからなくて、大変だったよね」
つい数ヶ月まえのことを思い出す。互いの友達や知り合いに声を掛けたり、写真を撮ってチラシを作り、周りに広く知らしめても、なかなか飼いたいという人物は見つからなかった。
仕方なく、当の深緋がうちで飼えないかと祖母に打診したけれど、聞き入れてもらえなかった。
そのとき、『拾うのは人間の男だけにしなさい』と訳のわからない説教までされた。
「それがどうかした?」
拾ったあの茶トラの猫から思考があちこちに飛んで白翔の問いに戻ってくる。
「お〜、ナイッシュー」
白翔が嬉しそうに目配せし、ゴール下に落ちたボールを拾いに走る。シュッと真っ直ぐで的確なパスが、手元に飛んできた。
一度大人しくなった心臓がまた小刻みに音を鳴らした。ドキンドキンと心拍が早まるたびに、落ち着かなくなる。無意識のうちにオレンジのボールを抱っこしていた。
「深緋さ。四月に野良猫助けたときのこと、覚えてる?」
唐突な問いに、え、と呟き、反応が遅れる。うん、と上ずった声がもれた。
「覚えてるよ。新しい飼い主さんが見つからなくて、大変だったよね」
つい数ヶ月まえのことを思い出す。互いの友達や知り合いに声を掛けたり、写真を撮ってチラシを作り、周りに広く知らしめても、なかなか飼いたいという人物は見つからなかった。
仕方なく、当の深緋がうちで飼えないかと祖母に打診したけれど、聞き入れてもらえなかった。
そのとき、『拾うのは人間の男だけにしなさい』と訳のわからない説教までされた。
「それがどうかした?」
拾ったあの茶トラの猫から思考があちこちに飛んで白翔の問いに戻ってくる。