吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 繋がれた手を、振り解きたくない。

 黙って俯く深緋を見て、「やっぱり脈あり?」と白翔が首を傾げる。

 そのまま深緋の顔を覗き込み、どうにかして目を合わせようとする彼に対して、深緋はそっぽを向いて逃げた。

「おまえ、男の本能分かってねーなぁ」
「……は?」

 強がって素っ気ない返事をするものの、大した効力はない。

「逃げられると余計に追いかけたくなるだろ」

 瞬間、バチっと目が合い、白翔が嬉しそうに笑った。心臓の奥が、キュッと絞られるように痛くなる。

「なぁ、深緋〜、付き合おうぜ?」
「……付き合わない」
「なんで」
「白翔と両思いになりたくない」
「意味わかんね」

 繋がれた左手から白翔の熱が更に強く伝わった。

「あ、じゃあさ? 当分は俺の片思いでもいいから付き合お?」
「……言ってること無茶苦茶だよ」
「だって俺、深緋のこと独り占めしたいもん」

 まるでそれが当然の権利であるような口振りだ。呆れから思わず嘆息がもれた。

「とにかく、やめて。手も繋がないで」

 いつも通りの冷たい口調でどうにか強がり、深緋は彼の手を振り解いた。

「ちぇっ、何だよ、ツンデレ」
「……うるさい」
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