吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 深緋はそっぽを向き、隣りに気付かれないように鼻をすすった。程なくしてホームへと電車が滑り込んだ。

 *

 期末テストの数日間を終えて、教師が採点の時間を要するため、短縮授業に切り替わる。

 白翔の様子はと言えば、学校では変わらず距離を置いてくれるが、登校時間だけはあの日以来、毎朝迎えに来るようになった。

 深緋が家を出る時間には既に門扉で待っていて、はたから見れば“彼氏”然としている。

 挨拶だけは交わして、会話の大半は無視をするようになった。

 白翔の気持ちは一向に変わらず、付き合いたいを連発するからだ。

 自分の気持ちがこうなる(・・・・)前までは、“付き合う”ということが、それほど大きな意味を持つとは思えなかった。人間の言う“彼氏彼女”にいまいちピンとこなかったわけだが。次第に分かるようになった。

 恋人同士という、言わば口約束の契約を交わして、その異性しか愛さないということだ。その関係性は友情より遥かに重く、束縛や独占欲まで生じる。

 深緋たちからすれば、それらの感情はペットに抱くものと変わらないが、恋人に血の提供は要らないから、キスなどの性的なものを交わすのが普通なのだろう。
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