吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 靴箱の蓋を開けて、深緋は外履のローファーに手を掛けた。その時それ(・・)の存在に気が付いた。

 靴の上に軽く乗せられた白い封筒。

 手に取って見ると、表には《朝比奈 みあか様》と宛名が書かれている。そのまま裏を返すが、差出人の名前は書いていない。すなわち、開けなければ分からない、ということだが。

 この字、どう見ても女子が書いたものだ。

「なんだよ、それ」

 若干怒ったような口振りで、深緋が手にした封筒を白翔が後ろから取り上げた。

「ちょ、白翔」
「ふぅん、ラブレター……ってこと? 差出人の名前書いてないけど」
「いいから、返してよ」
「誰からか見ていい?」
「っ、ちょっと!」

 いい? と尋ねながら、白翔は返事も待たずにビリビリと開封する。

 その瞬間、彼は電気が走ったようにビクッと震え、眉間を歪めた。頬が引きつり、チッ、と舌打ちをついている。

 え、なに?

 状況を理解するのに数秒を要するが——スン、と鼻がひくついた。

 突如としてむせかえるような、甘い香り。嗅覚が嫌というほど反応した。

 ドクドクと脈拍が強くなり、口内によだれがジワリと溜まっていく。
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