吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 白翔の右手の人差し指に、赤々とした粒が浮きあがっていた。それはさながら赤く熟れた果実のようで、深緋の食欲をそそるには充分すぎる威力があった。

 丸く膨らんだ実が潰れ、指先を滑り、ぱたぱたと地面に数個、滴り落ちた。

 血。白翔の……っ。

「マジかよ、これ。カッターの刃が入ってる……っ」

 深緋は無言で白翔の手を掴んだ。え、と白翔が目を見張る。

 こういうとき、普通なら「大丈夫?」と聞いて保健室を勧めるのかもしれない。けれど、今の深緋にその冷静さは微塵も残っていない。

 白翔の長くすらっとした人差し指から、赤い液体(ジュース)が再びこぼれ落ちそうになった。

 あぁ、もったいない!

「みあ、」

 白翔が名前を呼び終わる前に口を開け、パクッと指を口腔に含んだ。

 その指先から彼の震えが伝わるが。深緋は気にも留めない。

 傷口を潤す新鮮な血を、舌で優しく舐めて飲み込んだ。

 美味しい……っ。

 初めて飲んだ時より桁違いの、更なる興奮と感動が深緋を包み込んでいた。

 白翔の右手を両手で掴み、夢中で滲み出る血を舌先と唇ですすった。

 血の付いた手紙がハラリと落ちる。言葉が出ないのか、白翔は何も言わない。
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