吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)
 ひと息に告げてからそっぽを向き、深緋はその場から逃げ出した。

 白翔がどんな表情をしているのか、確かめるのが怖かった。

 きっとものすごく悲しい顔をしていただろうから。

 不意にこみ上げるものを感じた。

 鼻の奥がツンと痛くなり、熱を持ったまぶたを上下させると、涙が頬へとこぼれ落ちた。

 罪悪感はひとしおだった。

 いつも真摯に、ひたむきな気持ちをぶつけてくれていたのに、自分はそれに応えずに逃げた。

 自らの保身のために、心にもない言葉で白翔を傷付けた。

 でも、それしかできなかった。

 自覚した恋に背を向けるには、相手を傷付けるやり方しか……。

 さながら悲劇のヒロインにでもなったかのようで、そんな自分に嫌気がさす。狡くて卑怯で、なんて身勝手なんだと自身をなじる気持ちでいっぱいだった。

 白翔への恋心を忘れるには、物理的な距離をあけるしかない。

 完全に白翔から離れる、としたら。もう引越しや転校しか方法(みち)は無い。

 リリーさんとスグルくんに全部打ち明けよう。私は、まだここで死ぬわけにはいかないのだから。

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