恋愛Sim★comp
視線を合わせ、真剣な眼。
「お願い……気持ちが追いつくまで、言葉を控えて欲しいの。思いついた台詞を言われちゃうと……心臓がもたないわ。」
何て、可愛い台詞なんだ!!
俺は、ノートを広げ日時に台詞や場面を書き込んだ。
「……。」
呆れた顔で、比名琴は一言付け加えた。
「私たち、絶対に普通の恋愛なんて無理ね。」
この言葉は、始まりにすぎなかった。

「嶋関さん、何くつろいでココア飲んでるんですか。キモイ。お別れの挨拶はいりません。俺たちの邪魔です。消えて?」
俺の笑顔に、抱きついてくる。
何を勘違いした?
「優しい!俺と、離れたくないんですね?編集長には、俺から言っておきます。では比名琴さん、ゆっくり愛を育んでくださいね!!」
荷物を手に持って、伝票をスルーしやがった!ココア代……
嶋関が、何も話さなかった時間が嘘のように静かだ。
「……彼、意外と存在感あるわね。」
「あぁ……。ウザイだけかな?」
ふふっと、雰囲気が和む。
「実はね、さっきもらったメール……文一に見られて、つかまってしまったのよ?」と、今日は紅茶にレモンを浮かべたカップを口に運ぶ。
水分に、唇が潤んで……俺を誘っているように見える。
欲情かな、これ?
「……?聴いてる?だから、その……心配してくれるのは嬉しいし……その、優しい言葉が……うあぁ~~。言葉にならないわ!!」
顔を真っ赤に、頬に手を当て照れる姿が愛しい。
「ふふっ。文才があって、困る?」
「困る!普通は、あんなメール送らないらしいわ。」
普通?
「そうなのか?普通は、難しいね。トラは、彼女いないしな。参考にならないか。」
「文一は、別れたから……聞ける雰囲気じゃないのよねぇ~~。」
別れ……2人の間に、哀愁が漂う。
俺たちも、別れを経験した。辛い思い出は、大人たちの都合で作られたものだった。
それでも、感情は本物で……心の傷は消えない。
いや、補うために今……これからがあるんだ。
「比名琴……好きだよ。」
「……うん。私も……好き。」
静かな、幸せな時間が包む。


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