恋愛Sim★comp
ヒナキside。

今日は友達に、学校の帰り道の商店街へ食べ歩きに誘われた。
今日は家庭教師の日でもなく、バイトの日でもない。
友達に誘われるまま、本屋に寄ったのが間違いだった。
人生最大のミスだ!悔やんでも、悔やみきれない。

荻原 比名琴(はぎわら ひなき)。高校一年生。
本は、読まない。特に、恋愛は!
バカにしていた。だから誰とも付き合わない。
「コト!これ、読んでみなよ♪泣けるよ~~。憧れて、男の子にも興味出るよ!コト、何人振るつもり?」
乙女趣味の、鷹木 文一(たかぎ ふみと)の小言が始まった。
「帰るよ?あんまり、うるさいと!」
私は、二人を睨みつける。
もう一人も、目を輝かせて本を手にとって眺めていたからだ。
三ツ森 柊規(みつもり しゅうき)。変な名前だが、女だ。
本のオビには、天才小説家。新星の如く登場!第二弾も、ベストセラー~云々。
二人は、目の色が違う。
私にまで押し付けようとするので、キレた。
「こんなの夢でしょ!この作者、頭おかしいんじゃない?現実は厳しいのよ?はっ、恋愛なんかで、幸せになれるか!作者だって、恋愛したことないか現実から逃げてるか……!?」
急に腕を引っ張れ、出会う。

私たちの出会いは、本当に運命?
冗談じゃない、偶然よ!
絶対に、好きにならないわ。何が悲しくて、現実で擬似恋愛?
私は、目の前に見える汚い現実につられることになる。
そう、世の中……金なのよ、結局……。

私の迷いが、私の一生を左右する。
人生ってそんなものよ。後悔先に立たず?だっけ?
お金は、大事だよ~~って、懐かしいメロディが聴こえる。

『一目惚れ……目があった……運命的。膨らむ恋心……』

……何、夢みたいな寒い台詞!!誰が、思うか!!
さっき見た一文が頭を過ぎる。
本屋から手を引かれ、理解に頭が追いついた頃……
「君を好きになってしまった。一目ぼれなんだ……。付き合って欲しい。」
いきなり、知らない男に言われた。
「はぁ?あんた、頭……大丈夫?」
「あれ?俺、何か間違った?」
それが、蓬来 幾久(あらい いく)……人気小説家の本当の姿との出逢いだった。

私たちは知らない。現実の恋は、楽しいばかりではないと……。
まして、こんな出会い方。私たちは、これがないと出会わなかった。
出会わないほうがよかったのかもしれない。
あんな別れが待っているなんて。
私たちの恋愛は、擬似恋愛。
私は、お金に釣られただけだった……


< 3 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop