恋愛Sim★comp
「そっか……。怒ってた?」
「俺は、怒ってる。」
命の声が低く、怖い眼。
俺は視線を逸らし、うつむく。
「ごめん。」
ただ、何をどう言っていいのか……分からずに、心の痛みを我慢した。
「幾久……思っていることを、まとめなくていい。頭に浮かぶ言葉を吐き出せ。聞いてやる。不器用なお前を、放っておけない。」
「……命……。俺、比名琴が好きだ。」
「あぁ、十分知ってる。どんどん話せ。」
「俺達の始まりは、別れだ……こんな別れが待っているなんて、想像もしていなかった。彼女の住む世界は特別で、皆がいる……俺の世界は孤独だ。俺だけの彼女でいて欲しい。それは、間違いなのか?正しいのか?俺は……」
頭に浮かぶ言葉が交ざり、言葉にならず涙で消えた。
味わう感情に、言葉に出来ないのを更に情けなく……闇に落ちる自分が孤独だと……
「幾久。バカだね……俺がいる。彪も嶋関さんも……比名琴ちゃんの気持ちも……お前は、持っているのに。幾久……ちょっと、失礼……」
【バシッ】
俺の頭が軽く叩かれ、衝撃に顔を上げた。
涙目に、笑顔の命。
「孤独に囚われるのは、お前の心だ。解放するのも、お前の心……さ、出口は見つけられるかな?」
「これが、出口じゃないの?」
「多分、糸口だ……」
命を送り、仕事場の二階への階段。
途中の壁に傷……落書きが少し。
『地震は注意。引越ししたら?』
比名琴の字……いつ、書いたんだろう?
比名琴の思い出のカケラ……俺の知らない君の時間が、この家にある。
俺の仕事中……君は、何を見て、何を聞き……感じ、考え、思ったのだろう?
時間を、仕事で無駄にした?常に、普通の恋愛ではなかった……
本棚の前に立つ。
最近、君が読んだのは……どれだろう?
君は、嶋関とは違ってテレビをつけなかった。静かな時間だった。
君の動く、ほんの小さな物音……それに、幸せを感じた。君との空間……
一つの部屋……一緒にいるだけ。言葉を交わすことなく、触れることなく……
心が通じていると思ったのは、俺だけだろうか?
いつか、訊いたことがあった……