蒼穹の覇者は、激愛で契約妻と秘密の我が子を逃がさない
旅行から帰ってきた玲奈は、さっそく渚沙に、悠眞と結婚の意思を固めたことを報告した。
すると早川夫妻は、我がことのように祝福してくれて、披露宴をクレールで開いてはどうかと提案してくれた。
クレールの味を気に入っている悠眞もその案を喜び、あっさりと披露宴会場は決まった。
クレールはそれほど広い店でもないので、場所が決まると、おのずと招待客の人数も絞られていく。
少人数な分、式はアットホームなものになるだろう。
玲奈としては、都合がつけば遠縁の梢には、ぜひ参加してもらいたいと思っているけど、彼女はペンションを経営しているので、難しいかもしれない。
それならそれで、折を見て、悠眞とふたりで、彼女の経営するペンションに泊まりに行くのも悪くない。
そうやって、ふたりの幸せな未来に向けての準備をしていた玲奈だけど、十月頃から、悠眞の様子がこれまでと違ってきていることに気が付いた。
「悠眞さん、仕事で困っていることでもあるんですか?」
十月の末、長期のフライトから戻ってきた悠眞を出迎えに来た玲奈は、玄関で顔を合わすなり彼になりそう聞かずにはいられなかった。
どれだけ好きな仕事でも、いいことばかりだけというわけにはいかない。
カフェアルバイトの玲奈でもそう思うことがあるのだから、責任ある業務を担う悠眞にはもっと色々あるだろう。
それがわかっていても質問せずにいられないほど、家に帰ってきた悠眞の表情は冴えないものだった。
それなのに本人には、その自覚がないらしい。
「そんなことないよ。日本への戻りの便で、強い横風を受けて、一度着陸を中断したが、それくらい想定の範囲内だ」
だから問題ないと、微笑んでくれるが、その表情を見ていると、かえって玲奈の胸が騒つく。
普段から悠眞は無口な方だが、玲奈は表情を見れば彼の気持ちを察することができた。
それは悠眞が、顔に感情が出やすいという意味ではなく、不思議と玲奈には彼の顔を見ているとその気持ちが伝わってくるのだ。
もしかしたらそれは、悠眞が玲奈にだけは、対外的に使っている感情のバリアのようなものを解いてるからかもしれない。
だから玲奈には、どうしたって今の悠眞が無理をしているのだとわかってしまう。
「仕事以外で、なにか悩んでいますか?」
質問の角度を変えてみた。とたん、悠眞の表情が曇る。
その表情の変化に、玲奈には察するものがあった。
「もしかして、私との結婚に、悠眞さんのご両親が反対しているのでしょうか?」
結婚の意思を固めてすぐに、悠眞の両親に挨拶をしたいと申し出た。でも先方の都合を理由に、先送りにされて未だ面会を果たせずにいる。
悠眞は、父親が多忙で時間を作れないだけで、自分たちの結婚を喜んでいると言っていたが、それは嘘だったのかもしれない。
(悠眞さんの迷惑になりたくないけど、今さら彼のいない人生なんて考えられない)
玲奈にとって悠眞の存在は、もう人生の一部なのだから。
魂が切り裂かれるような痛みに玲奈が黙り込むと、悠眞が軽く頭を振る。
「両親は、俺たちの結婚を祝福してくれている。それにもし反対されたとしても、関係ない。……誰に反対されても、俺の気持ちは決まっているんだから」
悠眞はそう言って玲奈を抱きしめた。
頬で彼の鼓動を肌で感じて、その変わらない温もりに安堵するけど、では彼はなぜ浮かない顔をしているのだろう。
「それなら、悠眞さんは、なにを悩んでいるんですか?」
彼に抱きしめられたまま玲奈が聞く。
すると悠眞が「不安にさせてごめん」と、謝る。
そして気持ちを整えるためか、一度深呼吸をしてから言う。
「どこかのタイミングで、人生のパートナーである玲奈には、話さなくてはいけないと思っていたんだ」
「悠眞さん、私を人生のパートナーと言ってくれて、ありがとうございます」
その事実が、玲奈の胸を熱くする。
「当然だ。だから、少し長くなるが、俺の話をちゃんと聞いてほしい」
そう言って悠眞は、玲奈の腰を抱いてリビングへと促した。
すると早川夫妻は、我がことのように祝福してくれて、披露宴をクレールで開いてはどうかと提案してくれた。
クレールの味を気に入っている悠眞もその案を喜び、あっさりと披露宴会場は決まった。
クレールはそれほど広い店でもないので、場所が決まると、おのずと招待客の人数も絞られていく。
少人数な分、式はアットホームなものになるだろう。
玲奈としては、都合がつけば遠縁の梢には、ぜひ参加してもらいたいと思っているけど、彼女はペンションを経営しているので、難しいかもしれない。
それならそれで、折を見て、悠眞とふたりで、彼女の経営するペンションに泊まりに行くのも悪くない。
そうやって、ふたりの幸せな未来に向けての準備をしていた玲奈だけど、十月頃から、悠眞の様子がこれまでと違ってきていることに気が付いた。
「悠眞さん、仕事で困っていることでもあるんですか?」
十月の末、長期のフライトから戻ってきた悠眞を出迎えに来た玲奈は、玄関で顔を合わすなり彼になりそう聞かずにはいられなかった。
どれだけ好きな仕事でも、いいことばかりだけというわけにはいかない。
カフェアルバイトの玲奈でもそう思うことがあるのだから、責任ある業務を担う悠眞にはもっと色々あるだろう。
それがわかっていても質問せずにいられないほど、家に帰ってきた悠眞の表情は冴えないものだった。
それなのに本人には、その自覚がないらしい。
「そんなことないよ。日本への戻りの便で、強い横風を受けて、一度着陸を中断したが、それくらい想定の範囲内だ」
だから問題ないと、微笑んでくれるが、その表情を見ていると、かえって玲奈の胸が騒つく。
普段から悠眞は無口な方だが、玲奈は表情を見れば彼の気持ちを察することができた。
それは悠眞が、顔に感情が出やすいという意味ではなく、不思議と玲奈には彼の顔を見ているとその気持ちが伝わってくるのだ。
もしかしたらそれは、悠眞が玲奈にだけは、対外的に使っている感情のバリアのようなものを解いてるからかもしれない。
だから玲奈には、どうしたって今の悠眞が無理をしているのだとわかってしまう。
「仕事以外で、なにか悩んでいますか?」
質問の角度を変えてみた。とたん、悠眞の表情が曇る。
その表情の変化に、玲奈には察するものがあった。
「もしかして、私との結婚に、悠眞さんのご両親が反対しているのでしょうか?」
結婚の意思を固めてすぐに、悠眞の両親に挨拶をしたいと申し出た。でも先方の都合を理由に、先送りにされて未だ面会を果たせずにいる。
悠眞は、父親が多忙で時間を作れないだけで、自分たちの結婚を喜んでいると言っていたが、それは嘘だったのかもしれない。
(悠眞さんの迷惑になりたくないけど、今さら彼のいない人生なんて考えられない)
玲奈にとって悠眞の存在は、もう人生の一部なのだから。
魂が切り裂かれるような痛みに玲奈が黙り込むと、悠眞が軽く頭を振る。
「両親は、俺たちの結婚を祝福してくれている。それにもし反対されたとしても、関係ない。……誰に反対されても、俺の気持ちは決まっているんだから」
悠眞はそう言って玲奈を抱きしめた。
頬で彼の鼓動を肌で感じて、その変わらない温もりに安堵するけど、では彼はなぜ浮かない顔をしているのだろう。
「それなら、悠眞さんは、なにを悩んでいるんですか?」
彼に抱きしめられたまま玲奈が聞く。
すると悠眞が「不安にさせてごめん」と、謝る。
そして気持ちを整えるためか、一度深呼吸をしてから言う。
「どこかのタイミングで、人生のパートナーである玲奈には、話さなくてはいけないと思っていたんだ」
「悠眞さん、私を人生のパートナーと言ってくれて、ありがとうございます」
その事実が、玲奈の胸を熱くする。
「当然だ。だから、少し長くなるが、俺の話をちゃんと聞いてほしい」
そう言って悠眞は、玲奈の腰を抱いてリビングへと促した。