Dearest My Lady
以前は根拠のない噂や憶測とともに語られていた紬の名前は、今では「動物に真摯に向き合う獣医師」として語られ、央との関係についても、祝福の言葉が目立つようになる。
《公私共に支え合える理想的なパートナー》
《本当に大切に想い合っているのが伝わってきて、素直に祝福したくなる》
《あれだけ公の場で想いを言葉にできる関係が、正直うらやましい》
そんな声を目にするたび、紬は少し気恥ずかしさを覚えながらも、胸の奥にゆっくりと安堵と喜びが広がっていくのを感じていた。
忙しさが一段落する頃には、紬の表情から以前の翳りは消えていた。張り詰めていた神経は少しずつ緩み、睡眠も食事も、ようやく日常のリズムを取り戻していく。
休職していた動物病院にも無事に復帰し、後日本社で行われた会議では外部協力枠ではあるものの、正式に月城グループの動物福祉アドバイザーへの就任が決まった。
二つの顔を持つことになり、忙しさは以前より増えた。それでも、家に帰れば玄関で迎えてくれる愛犬の足音と、愛しい央の声がある。
食卓を囲み、他愛のない会話を交わし、一日の終わりに隣に並んで座る。そのささやかな時間は紬の心を包み込むように、幸せで満たしてくれていた。