Dearest My Lady
並んで置かれた二つのベッドは、いつもならそれぞれの眠りを受け止める場所。けれど今夜は、その境界が曖昧になっている気がして、胸が鼓動を早めていく。
そしてこのまま、同じ場所で夜を迎えるのだという予感だけが、静かに満ちていった。
やがて央の顔が離れ、天井を背にしたまま紬を見つめる瞳と、視線が重なる。心臓が破裂しそうなほど激しく脈打っているのに、不思議と目を逸らせなかった。熱を含んだその瞳から、強い想いだけがまっすぐに伝わってくる。
「紬ちゃん……いい?」
一瞬の沈黙。それから紬は胸に溜まった息をそっと吐き、こくりと小さく頷いた。
「……うん」
その答えを受け止めるように央が手を伸ばし、カチリ、と小さな音がして、ベッドサイドの灯りが落ちた。
視界が闇に沈むと同時に、ほかの感覚が際立っていった。布が擦れるかすかな音が耳に届き、央の呼吸をすぐそばに感じる。並んで横になった距離はこれまでよりもずっと近く、その近さに紬は思わず息を詰めた。
やがて央の腕が、確かめるようにそっと回された。抱き寄せられた拍子に胸元へ額が触れ、近さに合わせるように呼吸がゆっくりと揃っていく中で、触れ合う体温が、少しずつ境目を曖昧にしていく。
──消えた灯りの向こうで重なる呼吸と熱に身を委ねながら、ふたりは初めて、夜の奥へと静かに溶けていった。