Dearest My Lady
その言葉に、小さな頷きがいくつも返った。メモを取る手が動き、表情には理解と納得の色が浮かんでいる。
紬は現在、月城グループ・ホスピタリティ本部に籍を置き、保護動物プロジェクトを統括するマネージャーとして本社で業務にあたっている。
かつて勤めていた動物病院は半年前に円満に退職している。医療現場から完全に離れたわけではないが、今の紬は獣医として"診る"立場から、回復のための環境を設計する側へと立場を移していた。
「現場に無理をさせず、動物たちのケアの質も落とさない。そのためには、気持ちだけに頼らず、無理なく続けられる仕組みが必要だと思います」
迷いのない口調に、反論は出なかった。会議室には、穏やかな合意の空気が広がる。
最後に、会議室の中心から全体を見渡していた代表取締役の巴琉が静かに告げた。
「私からも異論はありません。このプロジェクトは、グループとして正式に推進してください」
社長の言葉を受け、ホスピタリティ本部長や関連部門の責任者が運営面や実務の調整について短く確認を交わす。会議室には、決定事項が動き出す空気が静かに広がった。
「では、この件はここまでにしましょう」
椅子が引かれる控えめな音とともに、会議は締められた。