Dearest My Lady
「天城マネージャー」
会議が終わり役員たちが退席していく中、片付けを進める紬に声がかけられた。
「今日は午後から半休でしたよね。昼食、一緒にいかがですか?」
整理の手を止め顔を上げると、央が柔らかく微笑んでいた。その視線に、胸にほんのりと熱が広がる。
「あ……月城本部長。ええと、今日は……」
そこで一度言葉を止め、紬はほんの少し申し訳なさそうに微笑む。
「……すみません。ちょっと先約があって……」
「先約?」
「はい。瑠璃さん……月城専務と、その、明日の結婚式の件で、ランチミーティングの予定が入ってて……」
私情が絡む内容なので声を抑え気味にしたが、「結婚式」という言葉を口にするだけで無意識に頬が赤くなる。
央は一瞬眉を上げたものの、すぐに和らいだ笑顔を見せた。
「そうですか……残念ですが、そういう理由なら仕方ないですね」
その言葉だけでも十分甘く、紬の心をじんわりと満たす。さらに周囲の目が届かないのを確認すると、央は低く、甘く囁いた。
「……でも、夜はちゃんと、俺に独り占めさせてね」
「……っ」
小さく頷く紬を見て、央は満足げに微笑む。再び歩き出した彼の横顔に、胸の奥がやわらかな甘さで満たされていく。
最近の二人は、昼間はそれぞれの役割に追われる日々だ。事業部長から執行役員クラスとなった央は、戦略会議や各部門との重要な調整に追われ、紬も現場視察や研修、各施設の対応に忙殺される毎日を送っている。
それでも、夜には夫婦としての甘い時間が約束されている。
その思いが紬の頬を自然に緩ませ、心が満たされてくのを感じていた。