Dearest My Lady
戸惑う紬の様子を見て、瑠璃は楽しそうに目を細める。
「でも、懐かしいなあ。あのちっちゃくてお人形さんみたいに可愛かった紬ちゃんが、こうして央のお嫁さんになってくれるなんて……本当に嬉しい」
その言葉に、紬の胸にも懐かしさが広がった。
紬が両親を通じて瑠璃と出会ったのは、まだ彼女が巴琉と結婚する前で、四歳ほどの頃だった。当時から際立つ美しさを放っていた瑠璃を、幼い頃は本気で“お姫さま”だと思っていて、無邪気に思ったままを伝える自分を、瑠璃はとても可愛がってくれた。
父が巴琉の顧問弁護士を務めていた縁もあり、その後も交流は途切れなかった。月城家に遊びに行き、央が赤ん坊だった頃も、彼の妹たちである宝や麗が生まれたあとも、自然にそばにいた。
だから紬にとって瑠璃は、「義母」というよりも、少し年上のお姉さんのような存在だった。
そんなことを思い返していると、瑠璃がふと、声のトーンを落とす。
「……明日の式、緊張してる?」
優しく、けれど見透かすような眼差しでそう問われ、紬は一瞬言葉に詰まった。一瞬だけ目を伏せ、それから小さく頷いた。
「正直に言うと……はい。私となっちゃんじゃ、育ってきた世界が違いすぎて。披露宴もすごく大きな規模になりますし……なにより、これから先、彼と価値観の違いでぶつかったりしてしまうのかなって……考えてしまうことは、あります」
瑠璃はその不安を否定することなく、静かに微笑んだ。
「そうだよね。でも……わかるよ。私も、まったく同じだったから」
カトラリーをそっと置き、瑠璃の視線は少し遠くへ向かう。