Dearest My Lady
紬が頷くとやっと央は満足そうに頷き、ももにそっとリードを取り付けた。
「じゃあ、またね。紬ちゃん」
外の光が差し込む中で見えたその横顔は、すっかりと美しい青年のそれだった。
整った輪郭に柔らかな髪が揺れ、まっすぐな眼差しには穏やかさと品のある強さが同居している。通りすがりの誰もが思わず目を奪われる──そんな存在感を放っていた。
ドアが閉まると、背後の受付スペースからすぐに小さなざわめきがわき上がった。
「あ~今日もビジュが尊かったぁ!」
「あの顔と物腰で御曹司ってヤバすぎない?ほんとメロいわ~」
ひそひそと言いながらも、どの声にも抑えきれないときめきが滲んでいる。
「……」
休診の札をかけ、ドアを施錠しながら紬は小さく息を吐き出す。
紬にとってはもう見慣れた反応だった。けれど胸の奥でほんの少しだけ、何かがかすかに波打った気がした。