Dearest My Lady
「一人で全部背負わなくていいんだよ。私もいるし、ハルちゃんも、伊澄さんも……それに、紬ちゃんのお母さんの雫さんだって。みんな、あなたが幸せでいることを一番に願ってる」
胸の奥に、じんわりと温かいものが広がる。
「だから……央を頼ってあげて。思いきり甘えてあげて。あの子にとっては、それが生き甲斐でもあるから」
それから少しだけ、いたずらっぽく微笑む。
「寄りかかられたくらいで崩れるほど、あの子は柔じゃないでしょう?むしろ誰に似たのか……頭の中ではしっかり計算してるタイプだもん」
その一言に、央の別の顔──穏やかな笑顔の奥にある抜け目のなさを思い浮かべ、紬の喉から小さな笑いがこぼれた。
「……そうですね」
張り詰めていた胸の奥が、ふっと緩む。抱えていた迷いが消えたわけではないけれど、それを受け止める余裕が生まれた気がした。
「ありがとう、瑠璃ちゃん」
それだけで十分だったのだろう。瑠璃は満足そうに目を細める。
「明日は、思いっきり幸せな顔を見せてね!あ、でも……ハルちゃんが伊澄さんをここぞとばかりにいじるだろうから、ケンカにならないか、そこだけが心配かなぁ」
そう言ってグラスを置き、腕を組む。その仕草に、紬はクスクスと笑いながら頷いた。
胸いっぱいの感謝とともに、これから始まる未来を受け止める静かな覚悟が、確かにそこにあった。