Dearest My Lady
「紬ちゃん。俺、本当はずっと紬ちゃんが好きだったんだ」
唐突な告白に、紬は驚きで手が止まった。それなのに、これまで他の異性に抱いたような不快な感覚はまったくなく、ただ戸惑いだけが胸を満たす。
「……え……」
「もちろん一人の女の子として。でも、紬ちゃんが男嫌いなのを知ってたから、言わなかった。嫌われないようにね。その代わり、ずっと準備をして待ってたんだ」
心臓がひとつ跳ねる。呼吸が浅くなり、胸の奥がじわりと熱を帯びる。
突然の告白の連続に、思考が追い付かない。それでも、どうしても「いやだ」とは思えない。自分でもその理由がわからず、ただ困惑するばかりだった。
「準備……?」
「うん。紬ちゃんが“はい”って言わざるを得なくなるくらい、何もかもが揃うまで」
央はまっすぐ紬を見つめ、その瞳には少年のあどけなさも優しい笑みもなく、ただ真摯な覚悟だけが宿っていた。
「紬ちゃん。俺と結婚してください」
その言葉が紬の胸に落ちた瞬間、息が止まるような感覚に包まれた。手のひらがひんやりと汗ばみ、心臓の音が耳の奥で鳴り響く。視界の端でキャンドルの灯りがゆらめき、世界の音がすべて遠のいていった。
「………」
声にならない。喉の奥で空気が詰まり、何をどう返せばいいのかまるでわからない。