Dearest My Lady
けれど央の強いまなざしに、言い返す力を失った。息を整えようとしても鼓動の音ばかりが耳の奥で反響して、頭の中が真っ白になっていく。
央はゆっくり立ち上がり、小さな箱を取り出す。
中には、細身の台座に大粒の石を抱いた指輪が、静かに佇んでいた。箱を差し出す手も、表情も、まったく迷いがない。
「幼馴染でも弟でも、どんな関係でもいい。ただ、俺といることが“嫌じゃない”なら、受け取ってほしい」
紬は言葉に詰まる。指先も体も、思考も、すべてが固まったまま。なのに胸の奥が熱くなり、呼吸さえうまくできない。
「紬ちゃん……俺、本当に紬ちゃんが大好きなんだ。子どもの頃からずっと。……だから、これからもきみと一緒にいたい」
その言葉が胸に突き刺さる。紬の頭の中で、理屈と感情がぐるぐると絡み合った。幼馴染でもあり、遠い存在でもある央が、こんなにも強く自分だけを求めている。その現実を受け止めるには、少し時間が必要だった。けれど──
(もし……もし私が断ったら……なっちゃんの未来をつぶしてしまうかもしれない……)
不意に湧き上がる不安。断るという選択肢を思い浮かべた瞬間、央の人生の大事な道を、自分が閉ざしてしまうような気がした。
それと重なるように、胸の奥で小さな声が囁いてくる。