Dearest My Lady
(今……これを受け取れば……なっちゃんと、ずっと一緒にいられる……?)
思考はまとまらない。それでも、大人になるにつれ遠くに感じていた央が、いま目の前で手を差し伸べている。その事実だけで、紬の心は揺れながらも、どうしたいかを静かに悟っていた。
(私……私は…)
ずっと近くにいた、特別な存在。赤ちゃんの頃から知っていて、気持ちを押し付けることなく寄り添ってくれた存在。
──これからも、なっちゃんのそばにいたい。
その思いだけで、紬は手を伸ばしていた。
言葉にならない感情が胸を押し広げ、理屈を超えて、指先に力を与える。一度だけ小さく息を吐いて、紬は指輪をそっと受け取った。
手に伝わる冷たさと温かさが入り混じり、胸の奥にかすかな罪悪感がよぎる。本当にこれでよかったのだろうか──そんな思いが浮かんでは消える。
けれど、指輪を受け取った瞬間の央のひどく嬉しそうな笑顔に、胸がぎゅうっと締め付けられた。
「ありがとう……紬ちゃん」
わずかに震える声でそう告げると、央は紬の手を包み込み、優しく握った。
その掌の温もりがじんわりと伝わって、また、紬は何も言えなくなった。