Dearest My Lady

(全員……?)

庵は電子タバコを片手に喫煙所へ向かう。その背中を見送りながら、紬は別の方向へと導かれるように央に手を引かれた。

庵が向かった場所とは違い、落ち着いた照明と手入れの行き届いた庭園を眺めながら進む廊下が続いている。

ふたりはそのまま応接室へ向かう。夜のダウンライトに照らされ、庭の緑や小道の石畳が美しく浮かび上がる。紬の胸には、これから待つ場面への緊張が少しずつ膨らんでいた。

応接室の扉が開くと、温かい光と穏やかな空気に包まれた空間が目に飛び込んできた。

そこには、紛れもなく家族全員が揃っていた。

中央のテーブルを挟み、央の両親と自分の両親が座っている。その隣には、央の双子の妹たちもいた。一人を除く全員の表情がにこやかで、穏やかな空気の中で談笑している。

部屋に入るや否や、全員の視線が一斉に紬に向けられた。

「紬ちゃん!いらっしゃい!」

立ち上がり声をかけてくれたのは、央の母である瑠璃だった。昔と変わらない美貌で、四十代後半とは思えぬ若々しさ。紬の姉と言っても差し支えないほどの美魔女だ。

「こ、こんばんは……瑠璃さん」

紬は思わず少しだけ背筋を伸ばし、礼を返した。

「みんなで待ってたの。ほら、座って!央もね」
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