Dearest My Lady

はっきりと断言され、恥ずかしさで目をそらす。そんな紬の背に央は軽く手を添え、自然なそぶりでエレベーターへと誘導した。

央のエスコートは慣れているはずなのに、なぜか胸の奥がそわついてしまう。エレベーターのドアが閉まると、密閉された静けさが余計に緊張を際立たせ、紬はその空気を振り払うように口を開いた。

「さ、さっきの人……この間うちの病院にも一緒に来てた人だよね。なっちゃんの秘書の方?」

「そう。半分だけね」

「半分?」

紬は言われた意味をすぐには掴めず、思わず瞬きをする。「半分」という言い方の理由が見えないまま、頭の中に小さな疑問を浮かべて央を見つめた。

「今はまだ入社して間もない俺の仕事を支えてくれてて、いずれ正式に秘書としてついてもらう予定なんだ」

そこまで言って、央はにこりと笑う。

「紬ちゃんにはまだ話してなかったけど、俺、ホテル関連事業の担当事業部長として部署を任されてるんだ。国内外のホテル運営の管理とか新規開発……あとはサービス改善まで幅広く見てる。彼はその事業部のチームリーダー。それと兼任で、秘書業務も担ってくれてるって感じかな」

一度瞬きをして、少し目を丸くする。

「そうなんだ……」

そう口にしてから、ようやく言葉の意味が胸に落ちてくる。息をのみ、普段見ている穏やかな央の姿からは想像もできない重みのある肩書きに、ひそかに胸がざわついた。
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