Dearest My Lady
「私……そんな華やかな場に行ったことないし、迷惑かけるかもしれないけど、そんな私でいいのなら……」
気づけば、心の内がそのまま言葉になっていた。けれど央は、当然のように微笑んだ。
「そんなふうに考えなくていいよ。俺が隣にいてほしいのは、紬ちゃんだけなんだから」
そのまっすぐな言葉に、紬の胸がふわりと震える。ももが膝の上で小さく尾を揺らし、紬の指に寄り添った。
「準備は全部こっちで手配するから安心してね。ドレスも、アクセサリーも、ヘアメイクも……紬ちゃんが一番綺麗に見えるものを、俺に選ばせてほしいんだ」
その声音も、視線も、あたたかさがじんわり広がっていく。
「わかった……ありがとう」
「こちらこそ」
央の笑顔に、心臓が軽く跳ねた。
恋を自覚してまだ日も浅いのに、こんなに早く彼と恋人として見られる場所で並ぶことになるなんて。
嬉しいのにどこかくすぐったくて、気持ちが落ち着かなくなる。央の隣に立つと想像しただけで、背筋が伸びるような、でも足元がふわりと浮くような不思議な感覚。
(心の準備……ちゃんとしとかなきゃ)
央と並ぶ表舞台。その事実が、鼓動を静かに速めていく。
初めての恋を自覚しただけで、世界が少し違って見える。そんな自分の変化に戸惑いながら、紬はそっとももの背を撫でた。
小さな温もりに支えられながら灯るその高鳴りは、ごまかしようもなく恋する女の息遣いだった。