Dearest My Lady
穏やかな言葉だったが、それが“評価”として突きつけられているようで、指先まで強ばった。
その微かな変化に気づいたのか、央は迷わず紬の手をそっと取る。
「天城紬さんです。父の顧問弁護士である天城先生のお嬢さまで、今回は母の代理で出席してもらいました」
その名を聞いた途端、相手の眉が少し上がり、表情が和らいだ。
「ああ!あの天城先生の娘さんでしたか。先生のお噂はうかがっております。月城社長から絶大な信頼を寄せられている、優秀な方ですよね」
紬は軽く会釈を返す。父の名前で自分の認識が変わったとわかってはいたが、それでも少しだけ安心につながった。
「ご令嬢がこんなにも素敵な方とは、失礼ながら存じませんでした。確か紬さんご自身も、獣医をされているとか」
「は、はい……普段は小さな動物病院で働いています」
「素晴らしい。実は当社はペット事業に関係がありまして、ぜひ専門の方にご助言をいただければと考えていたところなんです」
紬は笑顔をわずかに固くしながらも、誇らしさがじんわりと広がった。自分の仕事や日常がこの場で尊重される形で話題に上るのは、思っていたよりも胸が温かくなるものだった。