Dearest My Lady
epi.5
パーティから数日が経ち、紬の生活はゆっくり日常へ戻っていく──はずだった。
しかし、その日常を静かに揺らしたのは、翌日に掲載された一つのネットニュースだった。
《月城央氏、正式に婚約者を紹介》
《支援したチャリティーパーティー会場で温かな拍手》
記事には、マイクを手にする央とその隣で微笑む紬の写真が数枚載せられており、添えられた文章も短く悪意らしいものはどこにもない。むしろ掲載直後のコメントは温かいものが多く、紬は少しくすぐったく思えるほどだった。
〈すごく綺麗な人〉
〈美男美女でお似合い〉
〈御曹司が惚れ込むのもわかる〉
“才色兼備”といった誉め言葉すら並び、その時の紬は深く考えることなく画面を閉じた。
──しかし、その穏やかな空気にやがて不穏な影がさす。
最初の変化はSNSだった。祝福に混じるように、好奇心とも探るような視線ともつかない投稿がぽつぽつと増え始めたのだ。
〈一般人が御曹司とって……なんか、出来すぎたシンデレラストーリーみたい〉
〈身分差の恋って綺麗に言ってるけど、結局は玉の輿だよね?〉
冷ややかな言葉と、それにつられるように“面白がり”が増えていく。話題性が生まれるほどその温度はじわりと変質し、茶化しは揶揄へ、そしてやがて悪意へと形を変えていった。
『清楚な顔してしたたかそう。──まさに魔性って感じ』