Dearest My Lady
「天城先生に会いたいって人が来てましたけど、怪しそうだったので追い返しておきました!」
そう言って、同僚たちは紬をかばい続けてくれた。受付のスタッフも、獣医師仲間も、皆が「先生を信じてる」と励ましてくれた。
けれど——
(私の存在が……みんなの迷惑に…)
紬の胸には、そうした罪悪感のほうが日に日に濃く積もっていく。
その間にも、SNSでは“紬の過去”と称する偽の男性遍歴が時系列つきでまとめられ、心ない言葉が雨のように流れた。
〈こんな女と結婚って、御曹司も見る目ないな〉
〈月城グループ大丈夫なの?〉
矛先はついに紬だけでなく、央の人格や素質へまで向けられていく。自分のせいで、央まで汚されていく——その現実が、紬の心を折りにかかる。
(なっちゃん……)
不安と罪悪感と無力感が重なり、胸の奥がずっと締めつけられていた。眠れない夜が続き、同僚とも目すら合わせられなくなっていく。
そしてある朝。白衣に着替える手が止まり、治らない指先の震えで、紬はようやく気づいた。
——もう、限界なのだと。