Dearest My Lady

抑えきれなかった想いが、ふっと零れ落ちるように声になった。その一言に、央の喉がかすかに震える。

「紬ちゃ——」

言いかけた瞬間、足元でももが「わん!」と割り込んできた。鼻先をふたりの間にねじ込み、大きな体でぐいっと押しつけてくる。“わたしを忘れないで”と言わんばかりの必死さに、ふたりは思わず笑いあった。

その笑顔の中で、紬は静かに思う。——不安も、弱さも。もう、ひとりで抱え込まなくていい。

「ももってば、いいところなんだから邪魔しないでよ」

「ばう!」

央の小言に、まるで抗議するようにももがさらに身を寄せてくる。その姿に小さく肩をすくめつつ、央は紬の手を取ってそっと指を絡めた。

「……これからは、ちゃんと言ってね。年下で頼りないかもしれないけど……心配したいんだ。嫌なことから全部、紬ちゃんを守りたい」

不器用な真っ直ぐさが胸にしみて、紬はそっと笑顔を返す。

「……うん。ちゃんと話すよ。隠したり、抱え込んだり……もうしない。……ごめんね、なっちゃん」

その約束を紡いだ瞬間、ふたりの間に柔らかなものが静かに根づいていくのを感じた。

ももが膝に落ち着いたところで、紬は央の体にそっと寄りかかり、小さく息をつく。

(愛されるって……大事にされるって、こんなに幸せなんだ)

とくとくと響く央の心音に、自分の鼓動が寄り添う。その温もりに包まれながら、紬はこれからの未来が静かに輪郭を帯びていくのを感じていた。
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