Dearest My Lady

『対応が遅くなって本当にごめんね!もうね、私、腹が立ちすぎて頭が沸騰しちゃってて!』

勢いよく続く言葉に、思わず肩が揺れる。

『あんなもの放っておけるわけないってハルちゃんもカンカンだよ!ひとまず対処はしたけど、今後も警戒態勢は続けるつもり。このまま放置なんて絶対にしないから!』

「瑠璃さん……」

名前を呼んだだけで、喉の奥が熱くなった。

瑠璃は早口でまくし立てながらも、その言葉の端々には激しい怒りと、紬を守ろうとする揺るぎない意思が滲んでいた。受話口越しでもその温度ははっきり伝わってきて、紬の目元にじわりと涙が浮かぶ。

『だから安心してね。もちろん、伊澄(いすみ)さんも動いてくれてるから』

「……お父さんが?」

『うん。最初の記事が出始めた頃からね。証拠の精査から記事の撤回交渉、各メディアへの勧告まで全部。ハルちゃんの名前も使って、徹底的にやるってもうすっごい怖い顔してた』

重くなりかけていた空気を吹き飛ばすように、瑠璃は明るく笑った。

『あの二人を敵に回したら今後まともに仕事なんてできないだろうから、どこも必死だよ。とにかく、もう何も心配しなくていいからね』

冗談めかした口調なのに、その裏にある本気がはっきりと伝わってくる。
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