Dearest My Lady
『それから、央にも伝えておいて。紬ちゃんが大事なのは、あなただけじゃないんだからねって』
「……はい」
『じゃあ、またね!』
最後までからりとした明るさのまま、通話は切れた。スマートフォンの画面が暗くなっても紬はしばらくそれを握ったまま、動けずにいた。
胸の奥に広がるのは、確かな安心と、守られていることへの嬉しさ。それと同時に、消しきれない申し訳なさが重なっている。
(私は……みんなのやさしさに助けてもらっただけ)
その事実が、何度も胸に浮かんでは沈んだ。
少しだけぼんやりしていると、寝室のドアが静かに開く音がした。央が部屋に入り、紬が腰掛けているベッドの縁に自然な仕草で座る。
「おはよ、紬ちゃん。今日はちゃんと寝れた?」
「……うん。ぐっすりだったよ」
そう答えた途端、央の手がそっと伸びてきて、紬の目元に触れた。指先でなぞるように目尻を拭い、顔色を確かめる。
「ほんとだ。顔色もちゃんと戻ってる」
心からほっとしたように笑うその表情に、紬は小さく息を吸った。
「あのね、なっちゃん。さっき瑠璃さんから電話があって……」
「ええっ?こんな早朝から?母さんてばなに考えて——」
「ち、違うよ!私のこと心配してくれただけ。だから……おこらないで」
慌てて央の袖をつかむと、その瞬間、央の頬がわずかに赤く染まった。その変化に気づいた紬も思わず視線を逸らし、耳元まで熱が上る。