Dearest My Lady
「実は……前からやってみたいなって考えてたことがあるんだ。まだ形にはなってないけど、できれば紬ちゃんの力を借りたいって思ってて」
詳しい話は伏せたまま、央は慎重に言葉を選ぶ。「お願いできる?」と問いかける彼に、紬は迷わず小さく頷いた。
「もちろん。私にできることならなんでもするよ」
その答えを聞いて、央はほっとしたように息をつく。
「じゃあ、今日の会議で稟議を通して、父さんにも承認をもらってくる」
そう言って立ち上がりかけたが、彼はふと思いついたように立ち止まる。
「……でもね、紬ちゃん。これだけは言わせて」
振り返って、まっすぐに紬を見つめてから、静かに言った。
「みんなが紬ちゃんに優しいのは、それだけの優しさを紬ちゃんがみんなに届けてるから。だからみんな紬ちゃんのことが大好きで、大事に思ってるんだ」
そっと距離を詰めて、腕を回す。
「だから……もっと甘えていいんだよ」
そして、少しだけ声を落として囁くように続ける。
「それでも、一番は俺にしてね」
優しく包み込むように抱きしめられて、紬はようやく息を吐いた。
胸の奥に残っていた最後の不安が、彼の腕の中で静かに溶けていく。その瞬間、この腕の中こそが自分の居場所なのだと、紬は初めて素直に思うことができた。