Dearest My Lady

紬は資料を胸の上でそっと握りしめ、ゆっくりと央を見つめ返した。

「……わかった。せっかくこうして機会がもらえたんだもん。私にできること、全力でやりたい」

言葉にした瞬間、小さな火が胸の奥でふっと灯る。央はその決意を包むように、穏やかに微笑んだ。

「ありがとう。じゃあまずは、社内のプロジェクトメンバーにも正式に紹介しようか」

央が椅子から立ち上がると同時に、さりげなく手を差し出した。紬はその手に一瞬だけ驚くが、そっと重ねて立ち上がる。掌越しに伝わる温度が、胸の奥の緊張を少しだけ溶かしてくれた。

石神が手帳を閉じ、静かに頷く。

「会議室の準備はできています。事業部の主要メンバーもすでに集まっています」

「うん。じゃあ行こっか」

央の言葉に合わせるように、紬は深く息を吸い、二人の後ろを歩き始めた。

応接室の扉を開けた瞬間、外との空気の違いに心臓がきゅっと縮む。

このあと、自分は正式なプロジェクトメンバーとして責任を負う──その意識だけで、自然と背筋が伸びた。
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