Dearest My Lady
廊下を進み、会議室の前に立つと、中から複数の話し声が漏れ聞こえてくる。紬の足が一瞬だけ止まったが、石神が軽くノックし、扉を開いた。
「お待たせしました。今回監修いただく専門医の方をお連れしました」
その声を合図に、室内の視線がいっせいにこちらへ向く。無言の圧に肩がこわばりかけるが、紬はそっと息を整えた。
央が一歩中へ入り、落ち着いた調子で紹介を始める。
「こちらが今回のプロジェクトに外部協力していただく、あおぞら動物病院の天城先生です。本日から正式に医療監修として参加していただきます」
促され、紬は一歩前へ進み丁寧に一礼した。
「獣医の天城です。現場で培ったものを少しでも役立てられるよう努めますので、どうぞよろしくお願いいたします」
やわらかく笑みを添えると、室内の空気がわずかに揺れた。ほんの一拍、沈黙と吐息のような息遣いが落ちる。やがてはっとしたように咳払いが起こり、息を整える気配が続いた。
「い、医療の視点が入るのはとても心強いです。先生、どうぞこれからよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」