Dearest My Lady
数日後、保護団体も参加して全体会議が開かれた。
この日からは本社のホテル事業部に加え、デザイン、施工管理、広報企画の担当者も同席し、プロジェクトの目的、全体スケジュール、細かな役割分担が共有されていく。
議事録の担当欄には 「医療監修:天城紬」 の名前が記されており、紬は自分の名が正式に並んでいるのを見て、身が引き締まるのを感じた。
——いよいよ、この企画が本格的に動き始める。
議事は淡々と進み、終盤、央がスライドを切り替え画面に会場の図面が表示される。
「続いて、会場レイアウトについてです。動物エリアの配置を中心に、図面で大枠を確認していきます。気になる点があれば遠慮なく言ってください」
保護団体スタッフがいくつか意見を述べ、デザイン担当がそれに応じて短い議論が交わされる。その流れの中で紬は図面の一角に目を留め、小さく息を吸いながらそっと手を上げる。
「……あの、私は少し、来場者の動線が気になります。断定はできませんが……この配置だと、動物たちが落ち着きづらいかもしれません」
一瞬だけ視線が紬に集まる。央もスライドから目を離し、自然な口調で応じた。
「確かに、図面だけでは判断しづらい部分ですね。そちらについては、実際のスペースを見たうえで調整したほうがよさそうです」
央は周囲を見渡しながら言葉を続ける。
「この後、外出可能なメンバーで会場を下見しましょう。現場で動線を確認しながら、先生の指摘も含めて詰めていければと思います」
央の言葉にうなずきが広がり、下見へ向かう段取りがまとまった。