Dearest My Lady
迷いのない視線に、紬は思わず息を飲む。立場の違いから無意識に遠慮してしまう自分がいる。それでも、央の瞳の奥に揺るぎない真剣さを見つけ、胸の奥がじんわり温かくなる。
「ずっとって……それはいくらなんでも無理でしょ」
軽く笑いながら言った紬に、央は微笑を返すこともなく静かに耳を傾ける。
「なっちゃんはこれからグループの次の代表として色んなことを学んで、もちろん海外にだって行くだろうし、それに……」
(……いつかは、良い家庭の女性と結婚するだろうし……)
紬の胸に、鈍く重い痛みが生まれる。頭の片隅では、彼の未来を思わずにはいられない。財閥の御曹司として歩む道、その中で自分とは今までのようにはいられない――そんな想像が、胸をぎゅっと締めつけた。
ズキリと疼く胸に、紬はそっと手を当てる。
(……?なに、これ……)
戸惑いと、痛みに似た鼓動。自分の中で生まれた初めての感覚に、紬は心底驚いた。
「紬ちゃ……」
央が言いかけたその瞬間、ももが急に体を起こし、前足を紬の膝にかけて体をすり寄せた。
「ばうっ!」
大きな頭を紬の手に預け、目を細めて甘えてくる。冬毛の柔らかさが、指先にじんわりと伝わる。
「……ほら。ももだって、紬ちゃんと一緒がいいって言ってるよ」