Dearest My Lady
紬の言葉にスタッフが真剣な表情でメモを取り続ける。その様子を確認しながら、紬は図面へ指を滑らせた。
「お見合いブースの位置ですが……来場者の方から見つけてもらいやすい点はとても良いと思います。ただ、視界の動きが多い場所なので、繊細な子には刺激が強い可能性があります。視線を少し遮ってあげるだけでも、負担はかなり減ります」
「なるほど……では半個室のような環境にするほうがいいでしょうか?」
「はい。もし可能であれば……ですが」
そう前置きしてから、紬は自然に央へ視線を向けた。
「月城事業部長、施工側との調整はできそうでしょうか?」
央は図面を覗き込み、軽く顎に手を添えて考える。
「ええ、間取り的にも対応しやすいはずです。設計と施工チームに共有して、できるだけ早く反映してもらいますね」
「あ、ありがとうございます……!」
スタッフが緊張したように肩を縮めつつも、安堵の表情を浮かべた。
紬はファイルを閉じ、穏やかな声で言葉を添える。
「当日朝のチェックリストなど、詳しい段取りは改めて個別にすり合わせましょう。他にも心配なことがあれば、いつでも相談してください。私にできることであれば、お力になりますので」
「はい、本当に助かります!」
深く頭を下げるスタッフに、紬は柔らかな笑みを返す。
そのすぐ隣で──央は、どこか眩しそうに紬の横顔を見つめていた。紬はその視線に気づくことなく、耳にかけていた髪をそっと整え、次の動きを確認するように会場へ視線を滑らせていた。