Dearest My Lady

会場下見を終えたあと、企画は一気に動き出した。

央はすぐにホテル側との調整に入り、施工会社との打ち合わせを重ねながら、音の反響を抑える素材や照明配置、滑りにくい床材まで一つひとつ検討していく。

並行して外向きの準備も進み、メディア対応の事前段取りや、PRチームには告知タイミングと情報量の調整を指示。さらに動物保護イベントならではのリスク管理を徹底するため、法務と必要な許可・注意事項の確認も丁寧に行っていった。

一方、紬も連日慌ただしい日々を送っていた。

週に一度ほど開かれる企画会議には必ず出席し、保護団体との打ち合わせも並行して進める。参加予定の犬猫のカルテを読み込み、性格や体調、投薬の有無を把握しつつ、ワクチン未接種や体調が不安定な個体の参加可否を団体と協議。

また当日のケア体制も細かく整理し、紬へすぐ連絡が届く配置の相談、怪我やトラブルの対応、里親希望者との面談でどのタイミングから紬が加わるのか。そうした細部をひとつずつ整えていった。


やがて会場の施工も進み始め、仕切りパネルが立ち、仮レイアウトが組まれ、白いだけだった空間に徐々にイベントの景色が浮かび上がる。

書類、会議、現場、また書類。そんな日々は慌ただしく過ぎていくのに、カレンダーだけは容赦なくめくられていった。

そうした目まぐるしい日々の中──気づけばイベント当日の朝となっていた。
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