あなたの1番になりたい。

先輩…、この学校に友達いるんだ。
私やあの子と同じく、友達ゼロかと思ってた。

軽いショックを抱えたまま、靴箱で上履きに履き替える。
そのまま、あの子―
三上愛の靴箱へと向かった。

伊吹さんから問題を解決するように直接言われたのだから、やらない訳にはいかない。


…ない。
あの子の上履きもローファーも、どこにも見当たらない。

あ、そうだった。
上履きは隠されたって言ってたっけ。
だったら、元々ここには無い。

ということは――
あの子は、まだ登校していない。

そう考えた時、靴箱の奥に、
ぐしゃぐしゃに丸められたA4サイズの紙が押し込まれているのが目に入った。

嫌な予感がする…。

それを取り出し、広げた瞬間。
思わず小さく息を吐いた。

溜め息ひとつで気持ちを切り替え、
私は1年生の教室へ向かった。



あった、あった。
教室のプレートを確認し、足を踏み入れる。

ざわついていた空気の中で、出入口付近に立っていた
野球部らしい男子生徒に声を掛けた。

「急にごめんね。三上愛さんの机、どこかな?」

「あ、えっと…一番端の列で、後ろから四番目です」

辿々しい返答に、「ありがとう」と軽く手を振り、
言われた通りの席へ歩いていく。


…やっぱり。

胸の奥で、嫌な予感が確信に変わる。

意を決して、机の中の教科書をすべて取り出し、机の上に並べた。

『バカ』
『学校に来んな』
黒のペンで、遠慮もなく殴り書きされた文字。

そこに、靴箱で見つけたA4の紙を重ねる。

『いつ退学するの?みんな退学するの待ってるよ!』

…最低だ。

ふと視線を上げると、
さっきまでの喧騒が嘘のように、教室は静まり返っていた。

無数の視線が私に突き刺さる。
私はそのすべてに、にこりと微笑み返す。

何事もなかったかのようにヘッドホンを付け、
教科書を机の中へ戻し、教室を後にした。

A4の紙も置いてくればよかったのに。

そう気付いたのは、
自分の席に腰を下ろしてからだった。

握りしめたままの、その紙を見つめて――
私は、ゆっくりと目を伏せた。



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