御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
乗り場に移動して、先頭の車両にふたりで乗り込む。上からバーが降りてきて肩回りを固定されると、逃げられない状況にさらに心拍数が上がった。
「美冬さん、かなり緊張してますね」
「ひ、ひどい顔してるよね。自分でもわかる」
「大丈夫。かわいいです」
「もう、適当なこと言って……あ、やばい。動き出しちゃう」
ゆっくりレール上を進み始めたコースターが、最初の大きな坂を登っていく。
地上の景色が段々と小さくなる感覚に、思わず息をのむ。
「やばい。ねえ、私が怖くならないようになにか言って」
「このコースターの一番高い場所は、八十メートルあるそうです」
「なにその雑学! 余計怖いってば!」
「あ、もう落ちます」
彼がそう言った直後、重力がなくなったような感覚でふわっと体が浮く。それから猛スピードで、コースターは坂を駆け降りた。
「いやぁぁぁあ~~~~~!」
絶叫系は苦手ではないという記憶は、たぶん十代の頃のもの。あれは若かったから大丈夫だったんだなぁと、恐怖をごまかすように考えてみるものの、怖いものは怖い。
私はコースターが止まるまでの間ずっと、半泣きで黎也くんの手をギュッと握りしめていた。