御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
「なにか困ったことがあったら、話してね。私じゃ頼りないかもしれないけど」
「ありがとうございます。でも今回の件は、本当に美冬さんには関係ないので」
彼がこんな風に強く言い切るのは珍しい。なんだか少しムキになっているようにも見える。私に関係ないというよりは、私を関わらせたくない、と思っているような……。
彼を信じると決めたはずなのに、隠し事をされているかも、という思いが心を翳らせる。
もちろん、人には言えないことのひとつやふたつあるものだけれど……あんなに熱いキスを交わしたはずの黎也くんが、今は今は冷たいオーラを纏っているように見えて、私の心には小さな不安が生まれていた。
「それじゃ、また連絡します。おやすみなさい」
「うん、おやすみ。お仕事頑張ってね」
アパートの前で車を下ろしてもらい、運転席の彼に手を振って別れる。
彼の態度はあれからいつも通りだったし、一日を通して楽しかったのは嘘じゃない。
なのに、どうして胸の辺りがモヤモヤするんだろう。黎也くんを信じようって決めたはずなのに……。
重い足取りで階段を上がり、通路にたどり着くと顔を上げる。すると私の部屋の前に人影があり、ドクン、と鼓動が揺れた。
誰……?