御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~

「とりあえず、彼女の身に危険がないよう僕の家に呼び寄せようと思います。出勤もなるべく送迎することにして……」
「ひと足早い新婚生活が送れるな。よかったじゃないか」
「そうのんきにばかりもしていられませんよ。峰田の件が片付くまでは」

 冷やかすような父の言葉に苦笑を返した後、俺は社長室を出て美冬さんに電話をかけた。

 コール音はすぐに途切れて、美冬さんの声がする。

『はい。黎也くん……?』

 彼女の声のトーンが、先ほど別れた時の明るいものとは違っていた。気のせいでなければ、どこか不安そうな……。

「美冬さん、これから迎えに行くので今夜は……というか、今夜からしばらくうちに泊まってください。そちらの自宅にいると危険かもしれないので」
『もしかして、直樹のこと……? 彼、もう、黎也くんにも会いに行ったの?』

 切羽詰まったような彼女の声を聞き、俺は思っていたより今の状況が深刻であることを知る。

〝黎也くんにも〟――ということは、美冬さんにはもう接触した後なのでは。

「美冬さんのところにも、アイツが? 今は無事なんですよね?」
『うん、会ったは会ったけど大丈夫。今はちゃんと戸締りをして、ひとりで家の中にいる』

 とりあえず彼女の身の安全を確かめられ、張り詰めていた気持ちが緩む。しかし、すでに彼女の前にあの男が現れていたとは……。

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