御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
美冬さんのアパートにつくと、当面の着替えや化粧品などの荷物を詰めたスーツケースをトランクに詰め、彼女を助手席に乗せて自宅へと向かう。
その道中で、父から聞いた話と今後の対応について、美冬さんにも共有した。
「慰謝料案件って、どれだけ自分本位なの? なんだか、私と付き合っていた頃よりひどくなってる気がする」
録音内容についても大まかに伝えたが、峰田の言い分には美冬さんも憤慨していた。
「でも、そこまでわかりやすく暴言を残してくれているので、刑事事件として峰田を罪に問えるかもしれません。弁護士の先生には、徹底的に戦ってもらうようお伝えするつもりです」
「刑事事件……か。身から出た錆ってやつだね。いくら元カレでも、さすがに同情できないな」
口ではそう言いつつも、美冬さんの横顔は少し寂しそうだった。
今は無関係かつ近づいてほしくない相手であっても、交際していた時は幸せな時期だってきっとあったはずだから、やりきれない思いはどうしてもあるのだろう。
……でも。あんな男との記憶も思い出も、これから俺が全部塗り替える。
「美冬さん」
俺はハンドルを握りしめ、少し緊張気味に彼女を呼んだ。
「うん?」
「今度のデートはうちに来てくれる約束でしたけど、もう叶っちゃいますね」
「そういえばそうだね。デートって感じではないけど」