御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
なにげなく会話に応じる彼女だが、あの約束をもう忘れているのだろうか。
正直、俺は電話で彼女が『お泊り』と口にした時から、そのことを意識して内心かなり舞い上がっているのだが。
ちらりと助手席の彼女を一瞥すると、きょとんとした目で首を傾げる。
かわいい……。じゃなくて、もう少し俺を男として意識してくれないと困る。
「いいんですよね?」
「えっ? いいって……なにが?」
やっぱり忘れているらしい。先に惚れた弱みとはいえ、俺ばかりがドキドキさせられるのは癪だ。
「キスで終わらせなくてもいいんですよね? ……って聞いています」
ようやく俺がなにを確認したいのかを察したらしい美冬さんは、急に黙り込んでしまう。
嫌だと言われればもちろん我慢するつもりだが、我慢しなくていいのなら……。
「えっと……大丈夫、です」
遠慮がちな声ではあるが、その返事は承諾だった。
あの美冬さんが、俺に身を委ねてもいいと思ってくれている――。
その勇気に感謝するとともに、彼女の気持ちに応えるように大切に抱かなくてはと気合いが入った。