御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
週末は溜まった家事を済ませたり食料品の買い物をしたり、散歩がてら図書館に出向いたりとのんびり過ごすことが多い。
街中を歩くカップルの姿を見て心がしぼんでしまうような感覚も、ようやく薄れてきたところだ。
「芦屋」
図書館の帰りに寄った百均で、誰かに声を掛けられた。振り向くと、リーシング部の上司が買い物かごを手に立っていた。
「谷村さん。こんにちは」
小顔が際立つすっきりとしたショートヘアにモデル体形の谷村さんは、私の憧れでもある女性上司。役職は課長で、さばさばとした姉御肌の性格だ。
私を含め部下のことは名字で呼び捨てし、言葉遣いが男前なのもカッコいい。
「休日も元気そうだな。よかった」
「えっ?」
「前の男と別れてから、なにかに取りつかれたように仕事に没頭していただろう。そのぶん休日にどっと疲れて、家に引きこもってるんじゃないかと心配してた」
谷村さんの優しさが、胸にじんと染みる。
彼女には仕事の相談はもちろん、人生の先輩としてのアドバイスが欲しくて、プライベートの悩みを打ち明けることも多い。元恋人の裏切りについても相談していた。