御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~

『なんだそのゴミクズみたいな男は。芦屋がそんな最低野郎から離れられてよかった』

 谷村さんは落ち込むばかりの私に代わって元カレをたくさん罵ってくれて、百パーセント味方になってくれた。

 たくさんのものを失った私がこうして日常を取り戻せているのも、ひとえに彼女のおかげだ。

 谷村さんは女性なので、優しい言葉の裏に下心があるわけじゃないと無条件に信じられる貴重な存在。おかげで励ましの言葉も素直に受け止められる。

「その節はご心配をおかけしました……! ご覧の通り、精神的にはもう大丈夫です。こうして百均に来て〝いかにお得な商品を買うか〟に命を賭けているくらいには、家計がぎりぎりですけどね」

 私の買い物かごに入っているのは、いくつか並んだ同じ商品の中で一番枚数が多いポリ袋、一番本数の多い綿棒など、とにかく割安な品々。

 ただし、商品によっては百均でなくスーパーやドラッグストアで買った方が得な場合もあるので、要注意である。

「そういう消耗品は量が多いに越したことはないから、賢いやり方だと思うよ。ちなみにその綿棒、私も欲しい。売り場を教えてくれ」
「はい! 本数多いわりに軸の部分がへたらないしおススメですよ~」
「ふっ、店員より詳しいんじゃないか?」

 こうして簡単に同情したりしないところも、谷村さんの好きなところだ。

 私はかわいそうな存在じゃない。今は自分の意思でひとりで生きるのを選んでいるだけだと、強い気持ちでいられるから。

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