御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~

「おはようございます。本日は、日本での一号店オープン、誠におめでとうございます」
「ありがとう。きみがしつこく誘ってくれたおかげだよ。ほら、あの服。前にも一度見せたけど、オープン初日に見るのもまた味わいがあるだろ?」

 先生が指さした先には、一体のマネキンがいる。私の背格好に似せた特注品らしい。

 そのマネキンが身に着けているのが、世界に一着しかない特別なワンピース。

 全体にあしらわれている水色とピンクを基調とした大ぶりの幾何学模様は、なんと私のイメージだそう。そして胸元には、御門ホテルのロゴが入っている。ワンピースの裾は、才賀先生の前髪と同じく左右非対称だ。

「そういえばずっと聞きそびれていたんですけど、どうしてあの模様が私のイメージなんですか?」
「規則的な毎日の繰り返し。せっかく綺麗なのにどこかお堅くて、自由さがない。副社長さんのことが気になってるくせに、素直になれない。そんなきみのイメージでこの柄を使ったんだ。ま、今は彼とうまくいってるみたいだけど?」
「……えっ。な、なんですかそれ?」
「気にしないで。ただのイメージだから」

 才賀先生はぱちっとウインクをすると、他の売り場の方へと足取りも軽く歩いていく。

 まさか、出店を交渉する最初の頃から私と黎也くんの仲を怪しんでいたの?

 やっぱり、才賀先生は一筋縄でいかない人だ……。

 そのエスパー並みの嗅覚はちょっぴり恐ろしいけれど、彼のデザインはやっぱり素敵。

 私は仕事中であることを一瞬だけ忘れ、特別なワンピースを感慨深い気持ちで眺めていた。

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