御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
やがて窓の外に見えてきたのは、見慣れた建物だったのでキョトンとする。
「えっ? ここって……御門ホテル」
「ええ。用があるのは別館です」
「別館?」
車が入っていったのは、慣れ親しんだ御門ホテルの駐車場。
改装したショッピングエリアにもこのところよく出向いていたので、それほど驚くような場所ではない。
「じゃあ、やっぱり買い物するの?」
「違います」
車を降りて歩き出す黎也くんに尋ねてみるものの、短く否定するだけ。
なんだか意味ありげだけれど、彼の意図がわからないまま、別館に繋がるエレベーターへと向かった。
御門ホテルの別館、その低層階には私たちがリニューアルに関わったショッピングエリアが広がっている。しかし、黎也君が向かったのはもっと上の階。
ウエディングサロンや披露宴会場、チャペルなどが揃った、御門ホテルの結婚式場だ。
「式場の方って、改装は済んでるけどまだオープン前だったよね……? 入ってもいいの?」
「だから、職権乱用と言ったでしょう? 一応連絡は入れてあります」
黎也くんが使ったのは、スタッフ用のエレベーター。一般のお客様はまだは入れないので、お客様用のエレベーターは止まっているのだ。