御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
「ですから念のため、手土産には無添加のお菓子を選ぶつもりです」
「なるほど。彼のような気難しい人はなにが地雷かわからないからな。悪くないと思う」
谷村さんの賛同を得られ、ひと安心だ。
あとは当日になって才賀先生の気分を害してしまわないよう、彼の経歴、作る服、ブランドの特徴などにとにかく詳しくなっておきたい。
「才賀先生の服を実際に着て感想をお伝えできたらベストですけど、節約生活の私にはなかなか手が届かないお値段なんですよね……」
「彼のブランドの服は高級品だからな。誰だっておいそれと買えない」
「経費になりませんかねぇ……」
「ならないだろうな。それ以外で先生の心を掴めるよう頑張れ」
ポン、と私の肩に手を置いて、谷村さんが自分のデスクに戻っていく。
やっぱり、できる限りの情報収集をしておくほかないようだ。
椅子に座ったままで一度大きく伸びをすると、私は残業覚悟で再び資料との睨めっこを始めた。
『芦屋さん』
聞き覚えのある声に名前を呼ばれ、目を開ける。
会社にいたはずなのに、私は見たこともない豪華な部屋にいた。天井の中央でシーリングファンがゆっくりと回転し、窓の外には都会の夜景が広がっている。