御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~
『あの、やめましょう副社長! こんなことしなくても、プロジェクトを成功させるよう真面目に働きますから』
『つれないこと言わないでください。優しくしますから』
『副社長、ダメです――』
『芦屋さん。自分の心に嘘をつかないで。本当は僕のことが気になっていたんでしょう、ねえ、芦屋さん……』
やめて。そんなに甘い声で何度も私を呼ばないでよ。男の人に騙されるのはもうこりごりなんだから……。
「芦屋さん、こんなところで寝たら風邪ひきますって」
誰かに肩を揺らされ、私は二度目の目覚めにハッとする。
バッと体を起こすと、そこはがらんとしたオフィスだった。窓の外はすっかり暗くなっている。どうやら私は残業中にデスクに突っ伏し、居眠りしていたらしい。
「よかった、タワマンじゃない……」
「タワマン? 夢でも見てたんですか?」
背後から尋ねてくるその声が夢で聞いたものと同じで、ぎょっとしながら振り向く。
「副社長……」
「だいぶお疲れなんじゃないですか? 声をかけてもなかなか起きませんでしたよ」
「すみません、お手数をおかけして」
申し訳ないと思う反面、彼の声がしていたせいであんな変な夢を見たのでは?とも思う。
夢の話で彼を責めても無意味だから、もちろん口にはしないけれど。